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「海上ブロードバンドサービスの最新動向」に関する特別セミナー
第22回

日時令和3年12月9日
場所福岡市 オリエンタルホテル福岡 博多ステーション
講師テーマ@  ソフトバンクのNTN構想
 講師:ソフトバンク株式会社
    サービス企画技術本部 部 長  押 田 祥 宏  氏
テーマA  カーボンニュートラル推進に向けた気象海象データの活用について
      〜POLARISによる航海支援と事後評価〜
 講師:株式会社フォーキャスト・オーシャン・プラス
    海洋情報部長  山 形 宏 介  氏
    一般財団法人日本気象協会 社会・防災事業部
    営業課 グループリーダー  佐 藤 淑 子  氏


     「海上ブロードバンドサービスの最新動向に関する特別セミナー」を開催しました

 令和3年12月9日(木)、福岡市において「海上ブロードバンドサービスの最新動向に関する特別セミナー」を九州運輸局、九州旅客船協会連合会、九州地方海運組合連合会との共催により開催しましたので、その概要を報告致します。
(参加人数:会場55名、オンライン視聴68名)

@「ソフトバンクのNTN構想」
講師:ソフトバンク株式会社 サービス企画技術本部 部長 押田祥宏氏

 通信は無くては困る社会インフラであるが、世界の人口の半数がインターネットを利用できない環境にある。ソフトバンクでは、新しい通信技術を使って情報格差の解消と産業の再定義を図るため、非地上型通信として空(宇宙)を使う「ソフトバンクNTN構想」を進めている。
現在、携帯基地局が国内の通信の99%をカバーしているが、都市部から郊外さらには僻地、空、海の地球全体の通信をカバーしようとするもので、これまで使われていなかった高度20kmの成層圏に一度飛ばすと半年程度ソーラーパワーで飛び続ける無人航空機を浮かべる「HAPS MOBILE」、高度1,200kmの低軌道に約600機の小型衛星を配置し高速ブロードバンド対応の「One Web」、高度36,000kmの通常の静止衛星を使ったナローバンドでIOTに特化し手頃で非常に使いやすい「skylo」で構成し、これらの回線を提供することによって各産業のDX化につなげていく。
特に船内における通信環境の改善に大きな影響のある低軌道衛星システム「One Web」の進捗状況では、2022年夏頃には予備機も含めた648機の打ち上げが完了し、2021年末頃から高緯度地域での商用サービスを順次開始予定で、日本でも2022年夏頃からサービスが始められる予定。
海事産業への活用では、現在は沿岸10kmを超えると通信が難しくなるが、船の上からでも快適なコミュニケーションが可能となるなど船員の働きやすい環境の実現、AIやIot、データ活用により業務の効率化の実現につなげることにより、陸上と変わらない環境を目指すとしており、また、自動運航やAIの活用などビジネス向けには高品質な衛星回線と福利厚生などコスト面を考えた割安な衛星回線を利用目的に応じてバランス良く提供して行きたいなど詳細な説明がありました。
最後に、これまで成層圏、宇宙空間活用の可能性が言われ実際に取り組まれてきたが上手くいった事例がなかったこと、打ち上げ費用が高く小型の衛星が作れなかったなど課題であったものの、現在ではそうした課題も改善されてきており宇宙空間などを使った通信技術が進んできたことで、これからは格段に利用しやすい通信網になってくる。海運事業においても、こうした先端技術を活用いただくことで、船員の福利厚生やビジネスの高度化に寄与できるよう協力していきたいとまとめられました。

A「カーボンニュートラル推進に向けた気象海象データの活用について
 〜POLARISによる航海支援と事後評価〜
講師:株式会社フォーキャスト・オーシャン・プラス 海洋情報部 部長 山形宏介氏
    一般財団法人日本気象協会 社会・防災事業部 営業課 グループリーダー 佐藤淑子氏

 世界の海の海流・水温・塩分濃度について、海表面から水深6500mの海中を準全球海洋予測モデルの出力の一例が紹介され、日本近海の海水面は過去30年の平均値と比較し大幅に上昇しており、水産資源確保に大きな異変が生じている。僅か1°Cの水温変化であっても、水産業に大打撃となりつつあることから、日本政府は2021年「気候変動の影響(温暖化)を考慮に入れた」水産政策の推進への転換を行っている。海洋の蓄熱量は大気の1000倍に及び、僅かな海水温の変化でも全地球規模の異常気象の発生に対して大きな影響を与えており、近年、九州で頻発する線状降水帯発生の一因にもなっている。温暖化の影響で漁業者の海に対する従来の「常識」が通用しなくなっており、そうした中で、気象海象データの活用が気候変動に対する「適応策」として注目されており、今後各地で進むと見込まれる。さらに併せて「緩和策」としてのカーボンニュートラルの推進の必要性についてもわかりやすく説明されました。

 次に、船舶に対して気象、海象予測に基づいた「最適航路」を提供し、航海の安全や経済運航をサポートする「ウェザールーティング」についての説明がありました。高精度・高解像度で気象海象予測や船舶推進性能の推定などの要素を使って、航海中に遭遇する気象や海象を予測し、安全性や快適性、燃料消費量、最短時間など指標に基づいた「最適航路」を提供するものとなっている。近年は地球温暖化の影響で、温室効果ガス排出規制対策としてハード対策とソフト対策が必要だが、「ウェザールーティング」はソフト対策となる。特に内航海運では省エネ格付け制度の運用が始まったことから、これまで以上に対応が求められる重要なサポートシステムになると考える。
内航船への対策としては、10年程前からNEDOの助成事業で「内航船の環境調和型運航計画支援システム」を協同で開発した。当初はシステム導入の準備に要する時間や費用、削減効果の把握が困難といった課題があったが、評価手法等を確立したことにより2012年からは「ECoRO」として実用化システムを確立し、高解像度、高精度な気象海象予測(海上風、波浪、海潮流)を利用した船舶の燃費削減航海支援など精度の高いサービスの提供を行っている。なお、システムの搭載にあたっては、租税特別措置や運航効率化実証事業補助金制度もある。
さらにサービス内容を改善し、「気象海象予測データ」、「航海計画支援サービス」を提供する「POLARIS」も昨年度より提供しており、「気象海象予測データ」は地球全球では最大30日先まで、日本近海は1日8回更新の4日先まで提供している。FOPの海流データとで上手く使えば省エネ効果が大きいなど説明があり、最後に実際の導入した船舶での事例紹介がありました。

 今回のセミナーでは、技術進歩がめざましい海上通信の分野に触れ、船内サービスの向上や運航の効率化のみならず、船員の労働環境の改善や定着率の向上においても、大変有効なツールになるものと感じました。今後、海運業界のさらなる振興・発展に資することが期待されます。





@ 令和の時代の内航海運に向けて
A ITを活用した船員採用・人材育成の取組事例
B 海運情報化時代へのJRCの取り組み
   〜更なる安全・高効率運航の実現に向けて〜
第21回

日時令和3年4月21日(水)13:30〜15:30
場所オリエンタルホテル福岡 博多ステーション
講師@ 令和の時代の内航海運に向けて
    講師:国土交通省海事局内航課長 秋 田 未 樹 氏
A ITを活用した船員採用・人材育成の取組事例
    講師:ITecMarin(株) 代表取締役社長兼CEO 石 川 和 弥 氏
B 海運情報化時代へのJRCの取り組み
   〜更なる安全・高効率運航の実現に向けて〜
    講師:日本無線(株) マリンシステム営業部
         情報ビジネスグループ 池 山 智 道 氏


                   −第21回海事振興セミナーを開催しました−

 (公財)九州運輸振興センターでは、日本財団の支援と助成による「第21回海事振興セミナー」を、九州運輸局、九州地方海運組合連合会との共催により、令和3年4月21日(水)に福岡市において開催いたしました。

  講演ではまず、国土交通省海事局の秋田未樹内航課長から「令和の時代の内航海運に向けて」をテーマに、内航海運の現状や内航海運暫定措置事業が令和3年8月に事業終了することなどの説明に続き、2020年9月に公表された「令和の時代の内航海運に向けて(中間とりまとめ)」を全体像として、荷主のニーズに応え、内航海運の安定的輸送を確保するため、「労働時間管理の適正化、多様な働き方の実現」、「船員の労働時間を考慮した運航スケジュール設定などオペレーターの関与」、「遠隔監視を前提に船舶の定期検査を簡素化」などを総合的に実施することを取りまとめたと説明されました。
  この取りまとめを踏まえて、造船法、海上運送法、船員法などの法律は改正中で、事業基盤強化計画認定制度では生産性向上や事業再編等の支援、特定船舶導入計画認定制度では安全・低環境負荷で船員の省力化に資する高品質な船舶の導入に支援が受けられ、内航海運業法改正では、荷主・オペレーターに船員の労務監理に係る配慮を求める仕組みを設け契約内容を「見える化」することで適正な運賃・用船料の収受につなげる。など説明され、各法律の施行時期は、公布後3月以内から2年以内となる見込みであることが説明されました。

  次にITec Marin株式会社の石川和弥社長から「ITを活用した船員採用と人材育成の取組み事例」として、船員採用と人材育成の課題を整理するため、半年間に渡り船員や海運業者からヒアリングを行い現状把握した結果等を含め紹介があった。海運業界は社会的役割の大きさに比べて認知度が低く知られていない。特に船乗りや海運会社に就職を考える、中・高・大学生に対し、ITを活用し、業界の認知度向上に取り組んでいる。テーマは「わかりやすく」、「見やすく」、「面白くて」、「手軽」で、スマホで見られる動画に注目して発信していることなどが説明されました。

  最後に日本無線株式会社情報ビジネスグループの池山智道氏から「海運情報化時代のJRCの取り組み」として、船舶の安全・高効率化運航に向けて、船陸間通信、船内IoTサーバー、クラウドサービスなどデジタル化の基盤となるインフラの技術開発、「船の見える化」の取り組みとして、VDR、船内IoTサーバー、クラウドプラットフォームを活用した船内情報の収集、船舶情報の陸上への伝達と陸上での管理、陸の気象情報の船舶への提供、収集した船舶の機器情報をJRCで監視、蓄積データの解析を行い、通信でシステムアップデートを可能とするなどが説明されました。

  今回のセミナーには、内航事業者、旅客船事業者をはじめ海事関係事業者55名及びオンライン視聴者77名に参加いただきました。
  参加者からは、内航海運の今後に動きが良く理解できた、船員の採用にあたって今後の方向性にヒントになった、長期的な視野では船の自動運行につながる話だ、など、参加された皆様には今後の取り組みなどに大変参考になる有意義なものとなりました。





海事観光の戦略的推進について
第20回

日時令和元年6月10日(月)13:30 〜 15:00
場所オリエンタルホテル福岡 博多ステーション(旧:ホテルセントラーザ博多)
講師国土交通省 海事局 総務課長 松 本 勝 利 氏


                    海事観光の新たな取組みに期待し応援
                 ― 第20回海事振興セミナーを開催しましたー

  (公財)九州運輸振興センターでは、日本財団の支援と助成による「第20回海事振興セミナー」を、国土交通省海事局総務課長の松本勝利氏を講師にお迎えし「海事観光の戦略的推進について」をテーマに、令和元年6月10日(月)、福岡市において開催いたしました。

  今回のセミナーは、官民一体となって観光先進国に向けて取組みを進める中、特に離島航路や海事産業が多い九州において、海事分野での取組みが地域活性化に繋がることの理解をいただくとともに積極的な取組みへ繋がることを目的に企画・開催いたしました。

  講演では、国の観光施策の方向性が説明された後、海事分野での取組みを加速化するため国土交通省海事局で取りまとめられた「観光先進国の実現に向けた観光の戦略的推進について」の解説がされました。
  また、既に取組まれている具体的な他地域の事例や九州の事例である、@「ねこのしま」で有名な相島〜新宮航路のインバウンド旅客の誘客に向けた取組み、A「島原〜三池航路」の運航情報を経路検索サービス会社に提供する取組により利用客が増えた事例、B海の駅を活用しマリンレジャーの拠点として活用やマリンスポーツや海洋学習を通じて海への親しみを持ってもらう「九州UMI(うみ)アカデミー」の取組み、Dプレジャーボートのモデルルートとしての「マリンチック街道」などが紹介されました。

  最後に、日本には離島航路が多く住民にとっては重要な交通手段であるが、居住人口が少なくなる中で航路維持が非常に難しい時代になってきている。一方で外国からの旅行者が増えており、離島航路にとっても、このインバウンド需要を取組むことが重要であると考え「海事観光」に取組んでいる。インバウンド客をターゲットに船に乗りたくなる環境を作り出して行きたい、新しい取組みを考えている地域、事業者と一緒に取組んでいきたい、と締めくくられました。

  今回の海事振興セミナーには92名の方に参加いただきました。参加された方からは「海事の特性を生かし観光ルートを関係者と検討し、提供できるよう頑張りたい」、「海事事業者だけでは難しいと感じていたが連携の大切さが理解できた。新たな取組みを考えて行きたい」など積極的な意見がありました。





クルーズ船への対応と地域戦略
第19回

日時平成30年6月11日
場所福岡合同庁舎 新館7階 会議室
講師大阪経済法科大学 客員教授 池 田 良 穂 氏


               クルーズ船への対応のさらなる取組活動の推進に向けて
                 ― 第19回海事振興セミナーを開催しました ―

 (公財)九州運輸振興センターでは、日本財団の支援と助成による「第19回海事振興セミナー」を、大阪経済法科大学 客員教授 池田良穂氏を講師にお迎えし「クルーズ船への対応と今後の地域戦略」をテーマに、平成30年6月11日(月)、福岡市において九州クルーズ振興協議会との共催により開催いたしました。

  クルーズ船の寄港は、地域経済へ大きな効果を与えることから日本全国でクルーズ船寄港誘致が積極的に行われています。特に九州は九州クルーズ振興協議会を始め、関係者の積極的な取組みやアジアに近いという地理的特性、豊富な観光資源を有すること等からクルーズ船の寄港は極めて多くなっています。今後、一層のクルーズ船寄港誘致のため、関係者によるハード面、ソフト面でのさらなる整備・充実が進められていることから、今回のセミナーは、今後のこのような取組みに貢献することを目的に企画・開催いたしました。

  講演では、

〇世界のクルーズ人口は、順調に伸びており2,700万人を超え、産業規模も14兆円という巨大観光・海事産業に成長し、20兆円規模であるコンテナ産業を数年のうちに超える勢いである。1990年代から始まったクルーズビジネスは、旅行業者にとって売り易く、10〜17%の高い利益率や起点港にとって大きな、寄港港にとって少なからぬ経済波及効果があることから、世界各港によるクルーズ誘致合戦になっている。

〇特に中国では2010年から中国資本の参入により大幅な成長率となり、470万人を超えるまでに成長し、3万トン以上の中国発着のクルーズ本数は、2016年で830であり、内597は(72%)は日本寄港となっている。しかし、中国のクルーズマーケットは急成長期が終わり、安定成長期に移行している。今後の成長率は10〜15%(世界の2倍)になるとの多くのマーケット関係者の予測や2030年には1000万人に達すると見込まれている。新たな動きとして、チャータークルーズの質の低下によるマーケットの混乱、価格の暴落などから利益のとれる東南アジアや南部中国への拠点の移転、チャータークルーズから個人旅行への動き、海外旅行の飛行機とのシェア争い、クルーズ客船の自国建造、自国運航の義務化の予想などが考えられる。

〇最後に、こうした世界の状況がある中で、日本でのクルーズ人口は2020年の30万人から2030年には168万人と急速に成長するとの予測を見せているが、予測ではすべてが外国船籍での運航予想であることから、日本籍カジュアルクルーズ船の実現が必要であり、構想としてのクルーズ船の計画や損益分岐運賃の試算が説明されました。

  今回の海事振興セミナーは九州クルーズ振興協議会メンバーを中心にクルーズ振興等に関係される121名が参加され大変盛況なものとなりました。





九州におけるクルーズ船の動向について
第18回

日時平成29年6月23日
場所福岡合同庁舎 新館7階 会議室
講師国土交通省 九州地方整備局 港湾空港部長 堀 田 治 氏


              クルーズ王国九州のさらなる取組活動の推進に向けて
                〜第18回海事振興セミナーを開催しました〜

 (公財)九州運輸振興センターでは、日本財団の支援と助成による「第18回海事振興セミナー」を、九州地方整備局港湾空港部長 堀田治氏を講師にお迎えし「九州におけるクルーズの動向について」をテーマに、平成29年6月23日(金)、福岡市において九州クルーズ振興協議会との共催により開催いたしました。

  クルーズ船の寄港は、地域経済へ大きな効果を与えることから日本全国でクルーズ船寄港誘致が積極的に行われています。特に九州は九州クルーズ振興協議会を始め、関係者の積極的な取組みやアジアに近いという地理的特性、豊富な観光資源を有すること等からクルーズ船の寄港は極めて多くなっています。今後、一層のクルーズ船寄港誘致のため、関係者によるハード面、ソフト面でのさらなる整備・充実が進められていることから、今回のセミナーは、今後のこのような取組みに貢献することを目的に企画・開催いたしました。

  講演では、
〇世界やアジアのクルーズ人口が10年前に比べ急速な増加しており、日本においてもクルーズ船寄港回数が大きく伸び、特に九州の「博多港、長崎港、那覇港」が上位港を占め、クルーズ船による入国者数が増加の一途で、全国の7割が九州からの入国である。九州の特徴として2016年は港湾からの入国者数が空港からの入国者数を上回る結果となっており、2017年には欧米大手クルーズ船社のアジアへの大型船4隻の投入予定による、1,000回以上のクルーズ船の寄港予定、日本発着クルーズの運営が3社体制に確立し、色々な寄港地で乗下船できるクルーズや期間の長いクルーズ、などバリエーションが多くなっており魅力的になっているなどの現状報告がありました。

〇日本向けのクルーズマーケットの多くが中国、1週間以内の旅行行程であることから、九州・沖縄によらないツアーはわずか7%、九州はクルーズマーケットを担う重要な土地である。また、最近のクルーズの傾向として、買い物から自然・観光・アクティビティーでの体験など傾向が変わってきている。さらには、チャータークルーズにおけるランドオペレーターの問題やクルーズ船対応が今後もできる仕組みの検討の必要性。特に「おもてなし」や地元の名産品等の販売事例などの新たな取り組みの紹介や今後のクルーズ対応にあたって地元の関りの大切さ、国によるクルーズ拠点の整備に向けた様々な取り組みなども紹介されました。

〇最後に、課題と今後の展望として、日本、アジアのクルーズは黎明期から成長期に入っている。2020年頃までの成長期において日本を含むアジア地域のクルーズが完成に近づく。現在、新造船の投入など新たな動きもあることから、港湾の整備、旅行業関係制度などの受け入れ環境整備が大切。従来、港湾は物流に限られていたが、クルーズ船の入港などにより景色が変わり一般的な活用や観光資源としての活用、クルーズ船の入港による地域の国際化が進むなどの影響が出てくる。クルーズが成長することにより多角的、広域的に恩恵が受けられることが望まれると結びました。

  今回の海事振興セミナーは九州クルーズ振興協議会メンバーを中心にクルーズ振興等に関係される約140名が参加されましたが、参加された皆様には今後の取組みなどに大変参考になる非常に有意義かつ貴重なものとなりました。





クルーズ振興と観光
第17回

日時平成28年6月22日
場所福岡合同庁舎 新館7階 会議室
講師九州産業大学 商学部長、教授 千 相 哲 氏


                  クルーズは「6000万人」達成に大きな役割を果たす
                   〜第17回海事振興セミナーを開催しました〜


 (公財)九州運輸振興センターでは、日本財団の支援と助成による「第17回海事振興セミナー」を、九州産業大学商学部長・教授の千 相哲氏を講師にお迎えし「クルーズ振興と観光」をテーマに、平成28年6月22日(水)、福岡市において九州クルーズ振興協議会との共催により開催いたしました。

  クルーズ船の寄港は、地域経済へ大きな効果を与えることから日本全国でクルーズ船寄港誘致が積極的に行われています。九州は、九州クルーズ振興協議会を始め関係者の積極的な取組みや、アジアに近いという地理的特性、豊富な観光資源を有すること等から外航クルーズ船の寄港が2015年には、全国の約半分の約500回(全国約960回)と極めて多くなっています。この先、更なるクルーズ船寄港誘致のために、九州内の各寄港地では関係者によるなお一層の活発な取組みが推進されていることから、今回のセミナーは、今後のこのような取組みに貢献することを目的に企画・開催いたしました。

  講演では、
@九州インバウンドの実態として、アジアからのウエイトが非常に大きく、特に韓国からの訪日客は突出していること、また、従来、九州の割合は全国の10%程度であったが、昨年は14%超となっているが、これはクルーズによる効果を反映したものであり、クルーズ客を除くと10%程度となっていること等を説明したうえで、今後は韓国以外の国からの誘致に力を入れるとともに、アジア大航海時代に向けたクルーズ振興のさらなる取組みを行って行くことが重要であると、さらにそのターゲットはアジア、まずはGDPが1万ドルを超えている中国の沿海部である等を述べられました。
A最近のクルーズは中国発着で4泊5日・上海→韓国→日本というコースが多く、このような実態に加え、経済発展が著しい中国沿海部は大きなマーケットとなるので、このような実態・見通しから、日本、特に九州は今後のクルーズビジネスチャンスは大きくなっている等を述べられました。
Bアジアの経済発展に伴いアジア大航海時代が到来するが、現在、闇ガイド、ワンパターンなコース設定、入港地での待ち時間の長さ、バス不足、市内交通混雑の問題があるとともに入港地混雑のために寄港地を変更する事例も出てくるなどを解決すべき課題も多くあるので、これらの解決を図る必要がある。
 また、中国人のマナーの悪さがマスコミ等で取り上げられるが、これは中国人観光客の一部であること、日本との習慣等の違いがあること、海外旅行が始まった時点でのアメリカや日本、韓国のマナーを思い起こし、中国人観光客への理解を深めること等が必要であるとともに多くの中国人が来ている機会をチャンスととらえ日本あるいは九州の魅力を積極的に伝えるべきである等を述べられました。
 
  最後に、九州へ来た人たちへ九州の魅力を如何に伝えるか、また、受け入れ態勢の整備状況によっては九州観光の魅力の真価が問われることになり、さらには、今後のインバウンドが、量的なものだけでなく消費額や宿泊数の増加が問われることになるものの、今後の九州観光の成功のカギは「クルーズ」が握っていると締めくくられました。

  今回の海事振興セミナーは九州クルーズ振興協議会メンバーを中心にクルーズ振興等に関係される約100名が参加されましたが、参加された皆様には今後の取組みなどに大変参考になる非常に有意義かつ貴重なものとなりました。





【第一部】IMOの広報活動
【第二部】海洋観光の可能性
第16回

日時平成27年7月24日
場所熊本ホテルキャッスル
講師【第一部】 国際海事機関(IMO) 事務局長 關 水 康 司 氏
【第二部】 東洋大学 国際地域学部 国際観光学科 准教授 矢ケ崎 紀 子 氏


                      第16回海事振興セミナーを開催しました

                    IMOの広報と国内海洋観光の可能性について講演


 (公財)九州運輸振興センターと海フェスタくまもと実行委員会(会長:大西一史熊本市長)では、熊本市において、日本財団の支援と助成を受け、国際海事機関(IMO)事務局長 關水康司氏並びに東洋大学国際地域学部国際観光学科准教授の矢ケ崎紀子氏を講師にお迎えし、「第16回海事振興セミナー」を開催致しました。

  今回は、平成27年海フェスタが、熊本県有明海沿岸地域で開催されることを記念し、同フェスタ協賛事業として7月19日(日)の第55回九州運輸コロキアムに引き続き開催したものです。
  第1部では、關水康司氏により「IMOの広報活動」をテーマに講演頂きました。
講演では、先ずIMOが国際連合の専門機関で、1958年に発足し、現在171か国が加盟して、主として国際的な海上交通安全、海洋環境保護、船舶の航行安全ためのルールづくり等を行っていることやアジアでは初めて關水氏が事務局長に選出されたこと、日本の海の日に併せて開催されたIMOの世界海事デーなどパラレルイベント開催のため今回来日したこと等、IMOの組織と今回の来日目的及び關水事務局長の自己紹介等が行われました。
  その上で、IMOにおける広報活動について、写真を使用して以下の内容で紹介が行われました。

・IMOの広報活動は、年4回発行されるIMOニュースレターのみという弱いものであったが、広報にも力を入れるべきと1978年に「世界海の日」を制定し、毎年式典を開催している。これまで20年くらい実施してきた。その間2005年からは世界海の日のパラレルイベントをポルトガルでを開催し、その後、今年の日本まで、これまで11回開催しており、今後も2020年まで開催地が決まっている。このパラレルイベントの中で海運の重要性、海運の振興などを取り上げた広報活動を行っており、今年の日本での開催は大成功であった。

・どのような組織であろうと、特に公的な活動を行う機関にとっては広く一般にその活動内容などをわかってもらうことは極めて重要であることから、IMOにおいてもここ数年は広報活動を充実させようと取り組んでいる。

・一般の人たちに海事の重要性をわかってもらうためには、海事に興味を持ってもらう必要があり、広報活動の中でその工夫が必要である。その一つにその国が持っているマリタイムヘリテージ(海事遺産)を活用、広くPRしていくことである。この場合、海事遺産と併せ、その背後にある人々の生活、産業などについてもスポットを当てると興味を持ってもらえるのではないか。
 今後パラレルイベントを開催する国においては、必ずその国の海事遺産PRしてもらうことにしている。ちなみに、本年の日本開催では、わが国の海事遺産の殆どを写真集としてまとめ、発行して貰った。

・2012年の事務局長就任以来、さらなる広報活動に力を入れて取り組んでいる。具体的には、ソーシアルメディア(フェースブック、ツィッター、フリッカー等)を最大限利用し、IMOで会議等様々な活動展開を、その都度プレスブリーフィングとして会議のサマリーや議長のスピーチなどを出している。

・また、海運の振興、海事の振興、海洋活動の振興を考えると広報は極めて重要であると思っており、事務局長として各国を訪問した際には事務局長自体を広報大使と考え活動を行っている。各国を訪問した際には必ず写真を撮り、また撮ってもらって、これを基に自身のブログで情報を発信している。

・IMOには大使がいない。そこで新しい重要な活動展開として、各国に海事大使(マリタイムアンバサダー)を任命して貰いIMOで登録するという「マリタイムアンバサダースキーム」を作った。
 マリタイムアンバサダーの活動の一つとして、小中学校等でIMOの活動や海事の必要性・重要性などを広報して貰っている。

  第2部では、矢ケ崎紀子氏により「海洋観光の可能性」をテーマに講演頂きました。
講演では、本題の説明に入る前に、「海洋観光」の説明と海洋観光の手段のねらいが説明されるとともに、国民の海への関心が薄らいでいる状況にあることから、わが国の領海・排他的経済水域図を示し、改めて国民の多くがこの地図のイメージを頭に、また、心に刻んでほしいとの話があった上で、以下の講演が行われました。

・毎年、日本海事センターで実施している海に関する国民意識調査結果から、海洋が非日常になっていること、海洋が非日常であれば、非日常体験を楽しむ観光を活用し日常に近づけていくことができるのではないか。

・観光の力とは、@まず海洋を理解する、Aそして好きになる、Bその上で他の資源と繋ぎながら面的に他の産業や雇用といった面で経済的効果作っていくということである。

・自然景観、乗船体験、海の生活文化、離島の歴史・文化などの資源が海洋観光に活用できるが、そのポイントとして@どんな体験ができるのかなどを前面に出し、行ってみたい・チャレンジしてみたいという気持ちにさせること、A体験の舞台等を活用する際に、コントロールされたスリル、管理された冒険と安全とわくわく感がセットになって行われること、B説明力、翻訳力、ガイド力が必要である。

・わが国観光の特徴として、日本人の旅行消費額は大きく、国際的にみるとアメリカ、ドイツに次いで日本は3位になっている。これを海洋観光に活かすことができれば海洋観光は大きなマーケットとになる、A国内観光の宿泊旅行実施率が低下傾向にある、B宿泊旅行は、個人手配が90%程度である、C外国人旅行者は、2014年には1,300万人を超えた。インバウンドについては、2020年の政策目標である2,000万人達成が視野に入ってきたが、達成した後にこれを定着させることが重要であり、海洋資源、海洋観光はこれに大きく貢献できるところがある、D国・地域別の訪日外客数は近隣諸国が大半であり、台湾、韓国、中国、香港が4強である。

・日本交通公社のアンケート調査によると、海洋レジャー等で、行きたい県、地域は、沖縄県の次にハワイやグアムが挙げられている。日本には多くの素晴らしい海洋資源を持った地域があり、これを訴求し、広く伝えることが必要である。九州で考えれば九州の素晴らしい海を九州の自慢と掛け算して九州にしかないオンリーワン海洋観光を考えていくべきであるが、例えば、九州には繊細でやさしく美しい多島海があり、また反面雄大で圧倒的な外洋があるので、これを商材として、観光資源の開発をした上で、これにストーリー性を持たせ・高めて訴求していくとともに、人にわかりやすく伝えて行くことが重要である。

・海洋観光振興の方向性については、ねらい別の方向性として大きく二つあり一つ目は「経済活性化・海事産業振興」があるが、これについては、陸とくみ、また、クルーズ振興の推進を図ることが重要である。二つ目は「海洋の管理に関する国民意識の向上」がある。これについては、教育効果を高める商材を開発することが重要である。

(以上に加え、女性、特に母親への海の良さを遡及していくことが重要であること、父親の育児参加としてパパ子旅の推進、海辺で暮らしている人や海で働いている人などの地元住民が、海のよさ等を語れる媒介者となる必要性等などについて講演されました。)

  最後にまとめとして、「海洋への国民意識を高めるには,最初の一歩をクリアすること、その時に観光の力を使うこと、使う力としては体験型により海洋を楽しんでいくということが重要であり、結果、国民が海を理解し海への愛着を深めて行くことになる。これから先『アジアの時代』といわれたときには『海洋の時代』といわれるようになってほしいと思っている。海事産業振興等のために参加者の皆様には観光と組んだ取り組みを進めて頂きたい。本日の講演がその一助になれば幸いである。」と締めくくられました。

  参加者から、「今後の海事産業や観光を考えていくうえで大変参考になる良い話であった」等非常に有意義な講演であったとの声が多く聞かれました。
  なお、当日は、参加予定の70名を大きく上回る約120名の方が参加した、海フェスタ協賛に相応しい大盛況なセミナーとなりました。





船舶関係ISO規格の動向と日本の対応
第15回

日時平成26年12月17日
場所福岡市 ハイアット・リージェンシー・福岡 
講師第1部講師  (一財)日本舶用品検定協会調査研究部 専任部長
         横浜国立大学統合的海洋教育・教育センター 客員教授
                                     吉 田 公 一 氏
第2部講師  (一財)日本船舶技術研究協会 理 事 長  愛 川 展 功 氏
                             常務理事  平 原   祐 氏


                   船舶関連製品のISOで企業の競争力向上を!

                   〜第15回海事振興セミナーを開催しました〜


 (公財)九州運輸振興センターでは、日本財団の支援と助成による「第15回海事振興セミナー」を、(一財)日本舶用品検定協会調査研究部専任部の長吉田公一氏と(一財)日本船舶技術研究協会理事長の愛川展功氏、同協会常務理事の平原祐氏を講師にお迎えし、平成26年12月17日に福岡市において開催致しました。

  国際標準化機構(ISO)ではあらゆる産業分野において製品の仕様、試験の方法など国際的に統一した規格を定めていますが、船舶の関係でも甲板機械、救命設備、消防設備等航海機器等のぎ装品はもとより、機関や船舶の設計に関しても数多くのISO規格が制定されています。ISOは政府機関ではなく民間からなる各国の審議団体により構成される国際機関ではありますが、ISOで取り纏められた規格は、世界標準として取り扱われることになり、各企業がグローバルな展開をしていくに当たっては自社製品の仕様や性能をいかにISO規格に盛り込んでいくかが極めて重要になります。
  今回のセミナーでは、以上の状況などを踏まえ「船舶関係ISO規格の動向と日本の対応」をテーマに2部構成で講演頂きました。

  第1部は、(一財)日本舶用品検定協会調査研究部専任部の長吉田公一氏から、ISOは工業分野で国際的な標準を策定する民間の機関であるなどISO組織の紹介があるとともに、グローバルな展開をする工業製品では国際標準にすることが重要であること、船舶関連製品ではISOの規格を船級協会が利用し、IMOでは条約等制定の際に利用されること、過去JIS製品であることが品質基準であったのが、現在はJISではなくISOの基準に合致していることが品質証明になること、ISO基準の提案が韓国・中国から増えていることなどISOの国際的な動向や重要性などの説明があった後、@ISO基準は国際競争上大きな武器になる、A技術の大競争時代を勝ち抜く全日本ISO戦略と対ISOチームを構築する、BISO規格に打って出て戦う、CISO、IMOで主張する(できる)人材を育成する、DISO、IMOでリーダーシップを取って日本の戦略を推進する人材(議長、事務局、プロジェクト・リーダー)を育成する、E対抗するだけではなく協調できる相手を探す(部分的にも利害を共有できるように)、とまとめられました。

  第2部は(一財)日本船舶技術研究協会理事長の愛川展功と同協会常務理事の平原祐氏から、同協会における日本の取組みの基本方針やその取組み概要等の紹介があるとともに、国際標準化の意義として、過去にあったオリンピックにおける水泳(背泳:バサロ泳法のルール)やスキージャンプ(スキー板の長さ)の規則変更などを例に挙げ、国際ルールを決めたものが有利になることであるとし、このことは船舶関連製品においても同様であり、国際的なルールの制定は極めて重要であること、近年、各国は市場獲得のための新たな戦略ツールとして国際標準化ルールを積極的に活用しており、その一環としてISOにおける規格制定の活動を強化していること、また、このような各国等の活動等について具体的な数字等により説明した上で、このような状況に対応するため、船技協の国内での対応として、昨年、3月策定した「船舶に関する国際標準への日本の取組み方針」を積極的に展開しており、その内容である戦略的企画提案の実施、対応体制の強化等取組み内容について紹介等が行われました。

  最後にまとめとして@規格(スタンダード)はそれぞれの企業の競争力に直結する事項、A今はデジュール化(公的な組織によってつくられた規格)の時代、Bデジュール規格の舞台で、中国・韓国の存在感が増加、C船舶の国際標準化の世界も同様の状況、Dその舞台で主導権を握るのは新しい規格(新しい交渉項目)の提案者であり、そして具体的モデルの提案者、E事業戦略に基づいて標準化戦略の提案を!、と締めくくられました。
  なお、当日は、参加予定70名を大きく上回る100名の方が参加した大盛況かつ有意義なセミナーとなりました。





クルーズ船寄港による地域活性化 〜 経済効果と取り組むべき課題 〜
第14回

日時平成26年6月18日
場所福岡市 福岡合同庁舎新館 7階 会議室
講師大阪大学大学院 国際公共政策研究科 教授  赤井伸郎氏 


                      クルーズ船寄港による地域活性化を!

                    〜第14回海事振興セミナーを開催しました〜

 (公財)九州運輸振興センターでは、日本財団の支援と助成により、6月18日(水)福岡市において、大阪大学教授赤井伸郎氏を講師にお迎えし「第14回海事振興セミナー」を九州クルーズ振興協議会との共催により開催致しました。

  近年、世界のクルーズ人口は順調に増加しており、特にアジアのクルーズ人口は2020年には現在の3倍の380万人に達するとの予測も公表されています。
  クルーズ船の寄港は、地域経済へ大きな効果を与えることから日本全国でクルーズ船寄港誘致が積極的に行われ、九州においては、アジアに近いという地理的特性、豊富な観光資源を有することなどから、特に関係者の積極的な取り組みが行われており、博多港、長崎港、鹿児島港などは寄港隻数が全国でもトップクラスとなるなど「クルーズアイランド九州」といわれるようにクルーズ船の寄港が多くなっています。このような状況の下、九州における更なるクルーズ客船寄港誘致に寄与するために、今回のセミナーを企画し、今後の取組みに貢献することを目的に開催いたしました。

  講演では、先ず、赤井講師の専門分野は公共経済学と財政学であり、このような視点を中心に話を進めたいとの話がありました。次いで、世界のクルーズ事情と経済効果、日本におけるクルーズ事情と取組みや入港時の経済効果さらにはその経済効果測定の意義と方向性につい具体的な数字やこれまでの事例等を、図表等を駆使して参加者にわかり易く説明が行われました。
  その上で、効率的・効果的なクルーズ振興・クルーズの魅力の効果的な発信に向けて、「情報不足の解消、」「効率的・効果的なプロモーション体制の整備」、「外部性排除による連携」、「財務的安定化」等が必要であり、その具体的な取り組み内容が紹介され、そのまとめとして、クルーズ振興で地域を活性化させるためには、@長期的視点から継続的なアピールが大事であり、クルーズ船が寄港するとその情報が全世界に発信され、寄港地には何かがあるというメッセージに繋がりそこから需要が生まれ、これが更なる寄港や幅広い観光に繋がる。Aまた、クルーズ船の寄港の動きは地域の意慾に変化を生み出すことになる。寄港により観光客が街にあふれ、地域住民が「わが地域にも未来があるのではないか」という希望を持つことになるが、このような前向きな気持ちは地域再生には最も重要であると締めくくられました。

  当日のセミナーには九州クルーズ振興協議会のメンバーを始め140名の方々が参加、特に多くの地方自治体のクルーズ誘致関係部所の担当者の方が参加されましたが、今回の講演が地方行政の視点からの内容が多かったこともあり、特に今後の地方自治体によるクルーズ船の寄港誘致による地域活性化への取り組みには大変貴重で有意義なセミナーとなりました。





九州地方における船舶事故について
 〜船舶事故ハザードマップから見る船舶事故発生状況〜
第13回

日時平成25年7月29日
場所福岡市 ハイアット・リージェンシー・福岡
講師国土交通省 運輸安全委員会 事 務 局 長            玉木良知氏
                   次席船舶事故調査官      金子栄喜氏
                   門司事務所所長         大山繁樹氏
                   長崎事務所事故調査調整官 牧島陽一氏      


              「船舶事故ハザードマップ」は、船舶事故防止に大きな効果!

                  〜第13回海事振興セミナーを開催しました〜


  (公財)九州運輸振興センターでは、日本財団の助成により、7月29日(月)、福岡市において、国土交通省運輸安全委員会事務局長玉木良知氏、次席船舶事故調査官金子栄喜氏、門司事務所長大山繁樹氏、長崎事務所事故調査調整官牧野陽一氏の4名を講師に迎え「第13回海事振興セミナー」を開催しました。

  国土交通省運輸安全委員会では、港の出入り口や船舶輻輳海域などでの船舶事故をはじめとして、年間1,000件余りの船舶事故を調査し、事故原因やその防止策を内容とした事故等調査報告書を取りまとめ、船舶事故の再発防止に係る提言等が行われていますが、同委員会では、当該報告書をさらに活かすため、これを基に、海事関係者が利用しやすくかつ船舶事故防止促進に役立てるため「船舶事故ハザードマップ」を作成されました。

  事故の概況や事故原因さらには事故防止対策などを内容とした船舶事故報告書が事故防止に多大の貢献ができるものであるにもかかわらず、その内容が膨大であることなどにより、関係者がこれを利用する機会が少なったことから、この報告書を活かし、地図上で事故の発生状況や発生密度を示し、また、地図上の事故地点のマークをクリックすることでその事故概況、事故原因、事故防止策などが容易にわかるように、報告書を整理、「見える化」することにより、できるだけ多くの関係者に活用してもらい、船舶事故防止の促進を図ることを目的に、海運業界、漁業界などの関係業界や航海訓練所、海洋関係大学・教育機関等の多くの関係者から意見・要望を取り入れて「船舶事故ハザードマップ」が作成されました。

  今回のセミナーでは、実際にこのハザードマップを使用しながら、九州一円における事故の発生状況・事故原因・事故防止策や、九州各地において発生した貨物船、旅客船、漁船、プレジャーボートなど船種別の個別の事故事例ごとに、また、これに収録されている重大事故等の事故に至る経過等をC.G(コンピュータグラフィック)を用いて、その使用方法・容易さ、効果の大きさなどを説明するとともに、このハザードマップを有効活用し、航行予定水域における船舶事故の発生状況、事故原因等を予め把握し、実際に船舶が航行する際の事故防止などに努めてほしいとの要請がありました。

  参加者からは、「参加するまではハザードマップの効用が見えなかったが、説明を聞いて、大変利用しやすく、安全運航の確保には非常に有効なものであり、早速、自社で活用したい」など、積極的な活用を図る意向の声が多く聞かれました。
  なお、当日は、参加予定100名を大きく上回る160名の方が参加した大盛況なセミナーとなりました。

※当日の講演録は、「九州運輸振興センターのブログ」の「海事振興セミナー」→「第13回海事振興セミナー 報告」からがご覧になれます。







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